備忘録、的なもの

本との日常 購入日記その他

日本近代文学館の新収蔵資料展

先日、日本近代文学館へ行ってきた。ちょうど新収蔵資料展というのをやっていた。新収蔵資料展 - 日本近代文学館 (bungakukan.or.jp) 昨年の新収蔵資料のうちからの展示で、色々と興味深いものがあった。坂上弘の原稿、長田弘の「世界は一冊の本」の原稿や、…

遠藤周作「深い河」特装版

ヤフオクに出ていたのと、ネット検索してあまり引っかかってこなかったので載せてみる。 限定300部刊行。装い帙入り。クロース装。天・小口・地のすべて三方金という豪華さ。外箱、刊行案内揃って完本となるのかな。 奥付を見てみると非売品とあり、文化勲章…

愛書狂と古本マニアについて 2/2

かなり昔に購入した「愛書狂」を今さら持ち出したというのも、先日とある古本屋を訪れたところ、岡崎武志「古本大全」(ちくま文庫)、「昨日も今日も古本散歩」(盛林堂書房)を見かけたからであった。あまり古本者の本はこれまで買ってこなかったのであるが、…

愛書狂と古本マニアについて 1/2

生田耕作編・訳 愛書狂 白水社 限定250部 野中ユリ装丁この本の存在について知ったのは昔々、大学時代に遡る。当時、新宿御苑裏にある四谷図書館へ勉強場所としてたまに通っていた。ビルの7階にあるという変わった図書館なのであるが、勉強・読書スペースが…

ポーの大鴉と訳文三種について

大鴉 エドガー・アラン・ポー作 日夏耿之介訳 野田書房刊 1935年130部限定 高橋啓介「限定本彷徨」でも取り上げられていたものがようやく手に入った。うーむ素晴らしい。 大鴉の透かし入り とはいえ、さっそく読んでみたものの、擬古文調の訳文で非常にとっ…

湯川書房の本について

今日、ヤフオクで落札したとある限定本が届いた。ぱっと見た感じは和紙装のかちっとした装丁の本であり素晴らしい。仕事が終わってからのんびり見てみようと思う。 というところで、ふと自分が蒐集している目ぼしい限定本版元がどこだろうと思い、戦前であれ…

王朝小説集 恋路

昭和31年3月31日初版 河出書房 収録 寝覚/恋路/扇 耳付きカバーの装丁であり、美品は中々見つからない。私の所有のものも背が欠けているうえ、耳が切れている。 装丁者名の記載はないが同時期に同じ版元から出た福永武彦の「愛の試み」と対ともとれる印象は…

自鳴鍾

昭和33年1月30日 初版 新潮社刊 装丁 加藤栄三 書き下ろし長編。 家庭生活に飽きた主人公、夫が自分に振り向いてくれないがゆえに若者を誘惑する妻、純潔な心をもつ童貞、進歩的な考えを持つがゆえに現実世界から浮き気味の社会学者、財界のフィクサー等が一…

2023年の蒐書総括(4/4) 今年の展望その他

ということで、昨年は色々と知見や蒐集方法が広がったことで、ある意味飛躍的になった一年でした。中村真一郎本の蒐集も進み、持っていないものは限定本も含めても後数冊程度となりました。福永武彦や堀辰雄、三島由紀夫についても相当珍しいところや超限定…

2023年の蒐書総括(3/4) ヤフオクの活用について

③色々と本を集め周辺知識について調べたり聞いたりしていくうちに、大体の相場や本の珍しさ、署名の真贋についての判断がしやすくなり、それなら手を出して大丈夫だ、もしくはやめるかといった判断が出来やすくなりました。 ヤフオクでは写真と説明文が全て…

2023年の蒐書総括(2/4) 古書目録について

②について。これまでは足で稼ぐ、いわゆる古書店や古書展へ直接行って買うということをメインにしていましたが、実は目録販売しかしていない本屋があったり、店売りをしていても目録販売の方にまずは自慢の逸品を載せているらしい、ということにようやく気付…

2023年の蒐書総括(1/4) 運について

2023年は本の蒐集という点では非常に飛躍した一年でした。いや、 飛躍というのをどういう理解としてのということはありますが。 ここ一年ちょっとで買うものの傾向が変わってきました。 というのも、初版・ 初刊本に対する憧憬が増した影響がありそうです。 …

死の遍歴

1970年初版刊行。文藝春秋社。 小さな序章/死の偶然/死の純粋/死の混乱/死の襲来/ 死の和解/小さな終曲からなる。文学界連載。 第一章は妻の友人の死、第二章は友人の死、第三章は妻の死、 第四章は自分の死(への誘惑)、第五章は再び友人の死。 何と…

2023年末の雑感

年末雑感①最近ブログを更新していないので、さすがに年末くらいは今年度の蒐書の統括くらい書こうかなと思って少し書きだしてみたものの、何だかんだ人には知られたくないから伏字ばかりになってしまった。よい狩場を隠したい猟師の気分だと思った。 同好の…

全集の端本について

先日のヤフオクにてこんな出品があった。 https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u1108965418 ほほう、なるほど。全巻揃っていない故のジャンク出品なのだろうけれど、23巻が入っているのは相当珍しい。というか出品者は気づかなかったのかな(まあ、…

最近の収穫

しばらく更新をさぼりっぱなしであったが、個人的に入手が困難だろうと思っていたもののうちの一つをようやく手に入れることができたので久しぶりに記事を。 「愛と性を巡る変奏」フジヰ画廊もともとは鹿鳴荘から限定270部で出ていて、その後フジヰ画廊から1…

中村真一郎詩集

1950年9月1日初版刊行 書肆ユリイカ刊 目次 作品Ⅰ 極みの時/作品Ⅱ 愛の歌/作品Ⅲ 炎/作品Ⅳ 頌歌/作品Ⅴ 運河/作品Ⅵ 谷神/作品Ⅶ 冬の組曲 限定300部刊行。

死の影の下に(成瀬書房版)

成瀬書房刊 限定200部 ゾッキ本にもなっていたりしていわくつきの印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、造本自体はきちんとしているため、私は成瀬書房本は好きです。作家の処女作でラインナップを作っていたようで、中村真一郎は当然「死の影の下に…

老木に花の

1998年5月30日初版刊行 集英社刊 装丁 菊池信義 装画 中島千波(外装「薄紅梅」、見返し「形態 素描Ⅰ/Ⅱ」) 目次 小序/巻の一/巻の二/巻の三/巻の四/巻の五/著作目録 初出 すばる1998年3月号 前年12月25日に亡くなってしまった後の最初の刊行本。 巻末に三坂剛…

熱愛者

1960年5月10日初版刊行 講談社刊 装丁 三岸節子 初出 帯もあるようですが、未見です。10ページほどの書評集も入っています(当時の講談社ではつける習わしだったのでしょうか。藤枝静男の「空気頭」でも同様のものを確認しています)。 私が一番最初に読んだ長…

色後庵漫筆

1990年12月25日初版刊行 白楽刊 装丁 久保内祐子 目次 山荘開き/昼寝のあとさき/炎暑のさなか/異国のたより/会とその始末/文債の山/さまざまな集まり/出会いと思い出/新刊書の到来/詩句との出会い/ふたつの催し/秋気来る 初出 信濃毎日新聞?(初出未確認) 私…

中村真一郎書目 不完全ながら

創作/小説 長編小説死の影の下に(死の影の下に・第一部)真善美社 1947 成瀬書房版シオンの娘等(死の影の下に・第二部)河出書房 1948愛神と死神と(死の影の下に・第三部)河出書房 1950魂の夜の中を(死の影の下に・第四部)河出書房 1951長い旅の終り(…

なんとなく始めてみます

何となく中村真一郎の書影集を作ってみようという気になった。というのも、ネット上で探してみてもwiki以外でまとまっているものがないからである。 どれだけ皆さまの参考になるかはわかりませんが、自己満ですのでご笑覧くだされば幸いです。最初のうちは本…

2022/7/30

①感染対策40の法則 坂本史衣 医学書院②大阪市立十三市民病院がつくった新型コロナウイルス感染症対応BOOK 照林社③永寿総合病院看護部が書いた新型コロナウイルス感染症アウトブレイクの記録 医学書院④シンクロと自由 村瀬孝生 医学書院⑤性と芸術 会田誠 幻冬…

2022.7.24

①脳出血・くも膜下出血診療読本 中外医学社 ②蒲団 橘外男 中公文庫③連れ連れに文学を語る 古井由吉 草思社 ④星の子 今村夏子 朝日文庫⑤手と脳 久保田競 紀伊国屋書店 ⑥短編七芒星 舞城王太郎 講談社⑦定本 本屋図鑑 夏葉社⑧とんこつQ&A 今村夏子 講談社⑨蔓延…

2022.7.23その3西部古書会館

①作家の仕事場 篠山紀信 新潮社②震洋発進 島尾敏雄 潮出版社③邯鄲にて 篠田一士 弘文堂④日本の小説 生島遼一 新潮叢書⑤思いがけないこと 河野多恵子 新潮社⑥現代作家論 高橋英夫 講談社⑦琥珀の夜から朝の光へ 高橋英夫 新潮社⑧神話空間の詩学 高橋英夫 青土…

2022.7.23 その2東京古書会館

①戦争まで 中村光夫 実業之日本社②古代哲学史 田中美知太郎 筑摩叢書③おろおろ草紙 三浦哲郎 講談社④拳銃と十五の短編 三浦哲郎 講談社⑤少年賛歌 三浦哲郎 文藝春秋⑥流燈記 三浦哲郎 筑摩書房⑦驢馬の鈴 三浦哲郎 文藝春秋⑧愁月記 三浦哲郎 新潮社⑨暁闇の海 …

2022.7.23その1南部古書会館

①島 小島信夫 講談社②靴の話/眼 小島信夫 冬樹社③不意の声 河野多恵子 講談社④私の泣きどころ 河野多恵子 講談社⑤過ぎゆく時の中で 島尾敏雄 新潮社⑥三匹の蟹 大庭みな子 講談社⑦光があった 下村寅太郎/小川国夫 朝日出版社⑧休みのあくる日 庄野潤三 新潮社⑨…

生島遼一から上田秋成へ

・今日も日がな一日家で過ごす。というか起きたら昼だった。駅伝を眺めながら昼ご飯を食べ、駒沢大学が優勝し全校がゴールしたところでテレビに飽きる。twitterで某氏が生島遼一の「春夏秋冬」を読んでいるのを見、久しぶりに手に取ってみた。 ・生島先生は…

新年になりまして

2023年になってしまった。明けましておめでとうございます。こんな記事を見ていただきありがとうございます。 今年度はある事情で外出しなくてよくなってしまったので、31日に食材を買い込んでその後丸二日間家に引きこもりっぱなし、年末も外出しなかったた…