備忘録、的なもの

本との日常 購入日記その他

2023年末の雑感

年末雑感①
最近ブログを更新していないので、さすがに年末くらいは今年度の蒐書の統括くらい書こうかなと思って少し書きだしてみたものの、何だかんだ人には知られたくないから伏字ばかりになってしまった。よい狩場を隠したい猟師の気分だと思った。

同好の士に対しては情報共有はしたい気はあるのである。しかし全然関係ないような人にまで色々と話す義理はないよなぁとも思う。
だから情報を惜しげもなく書いてくれている方は本当に素晴らしいし、人柄がよいのであろう。そういう域には入れないな私は。とはいえ、情報だけは一丁前に欲しいという。欲張りだな。

 

年末雑感②
いつでも買えると思っていたものがいつの間にかなくなっている事案に遭遇。日本の古本屋にずっと載っているといっても他の人が買わないとは限らないのである。
中村真一郎宛の三島由紀夫署名本が小宮山書店に出ていて、まだ数冊残っていたのを今年半ばに確認していたのだが、それらが全てなくなってしまっていた。

三島由紀夫中村真一郎は同年代ということもあり、お互いにライバル視していたようである。三島から中村に宛てたもので小宮山書店に出ているものをみてみると、軽いものではないものはほとんど網羅されているようである。60年台後半以降のものがないのは、まとめて小宮山書店に出なかった、もしくは少し疎遠になった(単行本「記憶の森」によると、60年代半ばに豊饒の海を書き始めようとしていま三島は中村にもライフワークを書きなよとけしかけたものの、当時の中村はそれに乗らずということでやや関係性が悪化したのではないか、と中村は振り返っている)ことでそもそも献呈をしていなかったのかもしれない。

しかし逆に中村の三島由紀夫宛献呈本は私は完全に未見である。現時点で三茶書房に出ている三島由紀夫旧蔵のものは献呈札は入っているようだが、署名はないようだ。中村は署名をする方の作家だと思うのでちょっと解せない気もする。

署名といえば、石川淳の署名本も、もともと署名が入っている「夷斎清言」や「狂風記」限定版などの限定版を除きほとんど見たことがない。それを某書店主にいつぞや訊ねてみたところ、確かにそうですね、今まで気づかなかったけれど、とのこと。「元々文壇と離れた位置にいた方だから、そもそも献呈自体しなかったのではないでしょうか。」私も普通版の署名入りで持っているのは一冊のみである。中々見つからない。
今回オークションに「至福千年」の原稿1枚目と献呈先名簿というのが出品されていて、それを見てみると上の店主の発言も納得がいく。偽造されるだけの作者でもないと思われるが、この献呈先に出ていない作家宛の石川淳署名本はちょっと怪しいと考えてよさそうだ。中村福永加藤安部武満吉田山内があるのはさすがにそうだよなと思った。京都大学貝塚桑原吉川も納得。それ以外の人選も納得のラインナップであった。井澤義雄にもちゃんと送るんだという。大江があるのはちょっと意外に思った。
まぁこれは落とせなくてもスクショで保存はできたので満足や。便利な時代。

 

蒐書の総括については、気が向けばまた上げるかもしれません。年明けかな。皆さまよいお年を。