備忘録、的なもの

本との日常 購入日記その他

2024.8.7 名古屋古本巡り

・世間では下鴨納涼古本まつりが話題であるが、今年度も私は行けないため、先日名古屋に行ったことでも書こうと思う。

 

・先日10年ぶりくらいの名古屋上陸を果たした。前回名古屋へは友人たちとの旅行で訪れたということもあり、個人プレイが著しく制限され、どこの古本屋にも寄ることができなかったが、今回は違う。思いっきり行ける所へ行ってやるという意気込みを立てたはよいものの、普段の怠惰な性格のせいで当日までろくに予定は立てずという無計画さ。とはいえ、文学好きとしてはやはり千代の介書店が気になっていたので、そこをメインとすることにした。千代の介書店がある藤が丘は地下鉄の終点でもあり、名古屋市の中では端であるため、そこから帰ってくるように経路を立てるのが合理的かなと考えた。

・千代の介書店のホームページを見てみると、やっているかどうかわからないため、予め電話してくださいとの記載があったため電話をかけてみたところ、やっているとのことであったため、栄から東山線に乗り、終点の藤が丘まで向かった。今回利用したホテルが地下鉄沿線であったため、市営地下鉄一日乗車券を買ってみることにした。乗った時点から24時間有効であるため、使い始めの時間によっては翌日も使用でき、とても便利である。

・藤が丘は駅の目の前が公団団地であり、穏やかな雰囲気である。東京で言えば光が丘のような感じか。駅裏の建物が非常に年季が入っている印象であり、趣は感じるものの、光が丘同様高齢化問題は迫っている印象を受けた。

・そこから歩いて5分程度のところに千代の介書店はあった。外から見ると思ったより小さいなという印象であったが、スライドドアを開けて入ってみると、ああ、写真で見かけたような本の廻廊が広がっている。

外見は小さいようにも見えるが・・・

・中は4列本棚が広がっていて、入り口付近に文庫、そこからレジにかけて文芸書がおおむね著者50音に従って並んでいる。レジに向かって左2列は美術書や専門書が並んでいる。店主は「東京の本屋と比べるとそんなに珍しいものはないと思うけれど」と謙遜されていたが、そんなことはない。確かに偏りはあるものの、20-30年前くらいまでの文芸書をこれだけ系統立てて揃えているところはほとんどないのではないだろうか。ある作家を系統立てて揃えたいときに、方々へ探しに出るのは大変であるため、文芸書のみこれだけ揃えている店はありがたいものだ。また、並んでいるさまをみるのは気持ちがいいところもある。ど珍しい本はあまりないかなという印象を受けたが、インターネットに一切在庫を載せていないため、宝探し気分で棚を見てみる楽しさはある。
・それと、並んでいる本すべてにビニールカバーをかけていたのが印象的であった。それも、店主の配慮である。本をとても大事にしているということが伝わってきた。しかしそういうことができるのもあまり経営ということを考えずにということがあるのかもしれない。現在店主は88歳であり、この先どこまでやれるかなとおっしゃっていた。いつまでも元気にやっていてほしいと願うが、いつまでやれるかというのも確かにその通りだと思う。次に自分が名古屋へ行くときはやっているかどうかわからない。しかし、大事にしたい本屋だと思った。

・千代の介書店での購入物
①夏の朝の成層圏 池澤夏樹 中央公論社
②文学の創造 中村真一郎 未来社
③遠くのこだま 福永武彦 新潮社
④片蔭の道 堀多恵子 青娥書房
系統立てて並んでいるというのはとてもすごいのであるが、結局自分が買おうと思うと自分の趣味の作家の持っていないものをということになるのであった。進歩がない。②は署名入りであったが宛名は消されていた。④は串田孫一装丁による変わった判型の本である。中村真一郎も「長い回復期」を出している本屋であるが、他にも周辺作家で同型の本を出しているのであろうか。今度調べてみよう。


・さて、続いては百萬文庫である。近くにブックオフもあるようなので川名駅で降りて歩いて行ってみることにした。川名駅前には川名公園の野原が広がっており、とても暑い中遊んでいる子供がたくさん見られた。元気だな・・・。
・公園の端まで行き、国道153号と県道56号の交差点から右へ少しずれた道をしばらくたどっていくと、商店街のように小店が並んだエリアがあり、その中の一角が百萬文庫であった。店先には均一文庫が並んでいてとても安い。中も名前に遜色ないくらいたくさん文庫が並んでいた。値段もとんでもないものはあまりなく、むしろ良心的な値付けであったため、近くにあったらここで文庫を集めまくっただろうなと思ったのであった。何でこんな本にこんな値段がというのが色々あり、非常に勉強になった。文庫本の値段のつけ方は非常に難しいのだなという思いを新たにした。

外見からは想像できないほどの店内は文庫の海

・文学の常識 中野好夫 角川文庫
店先の均一から。状態が非常によいにも関わらず50円であった。今回百萬文庫を訪れた理由としては、新潮文庫の復刊で残った一冊を見つける目的だったのだが、ここでも見つからず。残念であった。揃うのはいったいいつになることか。

 

・続いてブックオフ名古屋河原通店。百萬文庫から歩いて10分ほどのところにある中型店である。目ぼしいものはなく終了。その後川名駅まで戻り、鶴舞駅へ。駅からすぐのところに山星書店と大学堂書店が並んでいた。どちらも全集類が棚上に並べられているところからわかる通り、やや格式高い印象を受けた。
・そこからさらに熱田神宮方面へ。熱田神宮伝馬町駅から国道1号に沿って行くとブックオフプラス熱田国道一号店がある。ここは大型店舗で、ホビーから本まで各方面揃っているが、こういう大型店あるあるで本を軽視する傾向にあるためあまり期待をしていなかった。ところが、それに反して本のコーナーは広く取られていたし、函物全集類コーナーも取られていた。その中で「河盛好蔵 私の随想選」で唯一持っていなかった4巻があったため、これは買おうと思って函の中を見てみると、3巻が入っていたのであった。こういうのはよくない。中身と外身の相違くらいは気づいてほしいよ。危うく買わずに済んだ。

熱田神宮にお参りした後、駅前の商店街内にある言ノ葉堂さんへ。店先の均一はいいのがあるなあと思って期待を膨らませて店内に入ったものの、棚の揃え方がイマイチわからず、色々巡った疲れもあるのかあまりよく棚を見れず、何も購入できず終わってしまった。また今度ゆっくり見てみたいところ。
・最後にブックオフスーパーバザー栄スカイル店。商業ビルの8階にある大型店である。商業ビルの中にあるものとしては本の数がとても多かったがここでも何も買わず終了。この時点で20時近くになりお腹が空いたため、これにて古本屋巡りは終了してしまったが、もう2店舗くらいブックオフは行けた気がするな。

ドナルド・キーン著作集第一巻 新潮社
熱田国道1号店で見つけた。しかも署名落款入り。こういうのが落ちている可能性があるからブックオフも完全には捨てられないのよなあ。

落款が面白いですね

 

矢場町→藤が丘(千代の介書店)→川名(百萬文庫、ブックオフ河原通店)→鶴舞(山星書店、大学堂書店)→熱田神宮伝馬町(ブックオフ熱田国道一号熱店、古書言ノ葉堂)→栄(ブックオフ栄スカイル店)

以上のような行程であった。今回は雑な計画で巡ったこともあり、もう少しきちんと計画を立てれば何軒か追加できたような気もする。まあそれは次回以降の課題ということで。もっとこうすればよかったんじゃないかというご意見や、名古屋の古本屋情報についてもしご存じの方がいらっしゃいましたらコメント欄にお寄せいただけると嬉しいです。