備忘録、的なもの

本との日常 購入日記その他

ヤモリと読書家

インターホンが鳴ったような気がして目が覚める。しかし出てみても誰も出ない。外を覗いてみるも誰もいない。気のせいかと思ったが、ポストをみてみると水道工事の手紙が入っていた。まあそういうことなんだろう。何か寝覚めが悪い・・・。

とはいえ朝にはなっていたため、読書でもということで、読み差しになっていた乗代雄介の「本物の読書家」を読む。午前中いっぱいでそれは読み終わったのだが、ここ最近の新人作家で久々に読み応えのあるものを読んだという感じになった。

そもそも"読書家"という用語そのものが非常に挑発的である。しかし、それに応えるだけの素養は作者にはあるようである。筋はネタバレすると面白さが半減するため、ここでは言及しない。大叔父の恋人が出てきたところで、ピンとくるものがあって自分もニヤッとしてしまったことは認める(そういうのが"読書家"というやつなんでしょう。あらいやらしい)。

以下、思った点をいくつか。

・生前の全集には未収録と"田上"に言わせているが、70年刊行の19巻版の12巻に収録はされている(家にあった35巻版の後付けでもそれは確認した)。まあ、わざとなんでしょうけどね(読書家も間違える)。

・比喩の使い方に変な癖がある。自分は医療関係だからなおさらなのだが、レメディやら毛細血管の使い方が非常に変。しかも、レメディなんてそもそも曖昧模糊なものを比喩に使うと結局何が言いたいのか訳が分からなくなってしまう。

・最後で、主人公は結局大叔父と別れたままになってしまうが、通常そんなことになるものだろうか。現実的でない。かつ、そんなことをしてしまう主人公ではあるが、その場面までに性格があまり掘り下げられてもいないため、非常に不自然に感じた。

と書くとなんだか不出来な小説という印象になってしまうのだが、それを補うだけの発想力である。偽作なのかどうかは実際は知らない(し、そうであったとしても自分はこれからも読み続けるだろう)が、自分には非常に面白く感じた。作者本人のバックグラウンドの読書量の故でしょうな(ブログで実際に読書日録みたいなものをやっているようですしね)。にしても、晩年期の川端は確かに変な小説が多いですね。「みづうみ」しかり、「たんぽぽ」しかり・・・。

・・・

読み終わった後で、飯を食べようとしたところで、台所の隅にカサコソ動く黒い物体を見つけた。ゴキブリかと思って構えていたら、ヤモリであった。どこから入ったのやら。ちょろちょろ動くのをちょうど台所の上にあった6Pチーズの箱に無理やり押し込めて外に逃がしてやった。

調べてみると、ヤモリは基本的にヒトを噛むことはないし、小さい虫やなんかを餌にしているため、どちらかと言えば"益獣"なんだそうなhttps://suumo.jp/journal/2016/07/26/115283/ https://www.env.go.jp/garden/kokyogaien/news/2018/08/post_291.html。しかし、餌となる虫が多い、つまり、ゴキブリが家の中に多いのだろうということの裏返しでもあるようで、そのあと慌ててゴキブリ駆除用の道具を買いに行ったとさ。おしまい。